市民本位・市民自治の市政を!

横浜・市民意識アンケート結果と山中市政の2年間について

はじめに

横浜市は昭和47年から毎年市民意識調査を行い、市民生活の状況や市政への要望などを把握するようにしています。

今回の調査は山中市長が誕生してからの調査としてはその傾向など十分ではありませんが、分析できる項目などもあり今後の施策にも利用できるものです。その特徴を示しみなさんの検討材料に出来たら幸いです。なお、調査は令和5年10月25日の発表です。

1 市民意識の特徴についてー都市型市民の生活は向上

 横浜の魅力についての項目は(3つ選択)一番が「ショッピング施設が充実しており買い物が便利」(約50%)2番は「海や港が身近」(約40%)3番は「道路鉄道が発達している」(約30%)として、都市型市民生活の典型的な回答が見られます。しかし、市民生活の充実の一つとして言われている「文化・スポーツ・娯楽施設の充実」(9.5%)は8番目、安心安全面の「風紀が良く犯罪が少ない」(7.1%)は9番目となり市民が大都市特有の公共施設の不十分性と、安全に配慮した街づくりに不満があることが分かります。また「先端技術を生かした取り組み」6.9%、「脱炭素社会の取り組み」6.4%の回答は市の脱炭素施策の弱さも示しています。

 市民の定住の傾向は調査から、昭和33年以前からの定住は2.4%の数値で現在の人口377万人に対して約10万人、平成元年から平成20年までは38.3%で約100万人となり平成2年の人口総数が322万人であったことから、この間の人口増加約50万人はMM21などの開発に伴う民間企業や市独自の宣伝効果や東京圏への集中などと関係がるのか分析の必要もあります。

そして横浜を選んだ理由として、始めから「横浜」は53%、「横浜」が候補は33%との回答が示され横浜への高い人気が分かります。横浜生まれは約30%で約130万人になります。

2 市政運営の評価の特徴は何かー「移動の利便性」は向上

市政への満足度は数年順位が高いのは、「バス・地下鉄の便」54.1%、「ごみ収集、リサイクル」31.6%となり市民生活に欠かせない分野になっています、今年の変化は「幹線道路や高速道路の整備」が前年7番から3番(29.9%)になり整備の効果を受けている市民の割合が多くなっていることの表れとも考えられます。また「歩道の整備」25.2%と満足度も向上しています。

一方で市内経済・商店支援などは「中小企業振興」4.1%、「商店街振興」5.9%、「市内経済の活性化」4.9%とどれも低い評価になり直接的な支援策とそれに伴う予算増額などが望まれています。

子ども子育てや教育関係では「学校教育の充実」6.7%、「家庭への援助」4.6%、「子育て期の援助」6.4%と現在の市の施策が求められている内容に合っているのかも検証することが必要です。

3 市民が望むべき市政の方向は何かー「医療」「福祉」「商店街振興」を望む

市民要望が高い項目は「災害対策」30.2%とここ数年一番の内容です。

「防犯対策」29.8%で2番(前年4番)「医療体制の充実」は3番、「高齢者福祉」28.8%(前年2番)「歩道の整備」27.5%で5番となり毎年1~5番まで同じ項目になります、どれも地方自治体の施策としては市民生活に大切・重要な事業であり市民の期待も高いのがうかがえます。

次に要望が高い施策の項目は「商店街の振興」25.5%、「都市農業の振興」15.1%、「雇用の創出」16.3%と市内の経済活性化や地場産業の振興と働く機会の創出が望まれていることが分かります。

さらに、「子育て支援」26.6%、「保育関係」22.5%、「家庭への援助」22.7%となり市民の要望でも根強い項目です。一方では「港湾機能強化」9.4%、「観光・コンベション振興」7.4%、「スポーツ振興と環境整備」9.0%となり、多くの予算を必要とする公共事業関係には市民の要望は低く、市の施策の方向性も問われることになります。

4 前市長との違が明確にー市政運営「満足」が増加

市民サービスや行政に対する満足では「満足」6.7%、「まあ満足」37.3%に対して「どちらともいえない」31.8%との回答で、反対に「やや不満」9.9%、「不満」6.6%です。令和3年度(前市長時)は「満足」6.4%、「まあ満足」24.5%、「やや不満」8.9%、「不満」18.0%の回答でした、前市長時から「まあ満足」が約9%増えたことになります。

ここで前市長時代の「不満」18.0%の多さはカジノ誘致に対する反対の気持ちが示されたことになります。令和4年度(山中市長)は「満足」43.9%になり前市長の30.9%より多くなっています。

5 中期計画と今後の横浜のまちー「花博」「特別市」は知らないが多数回答

中期計画による内容では、「医療体制の充実」49.7%、「子どもの育ち」44.0%、「高齢者・障害者」44.7%などが多くあり、特にコロナウイルスの関係からも医療体制の充実(区健康福祉センターの充実)が望まれています、子どもの関係ではやはり保育所整備と体制充実や、教育関係では中学校給食関係のことから回答が多くなっているように見えます。

今年の意識調査で初めての項目は、「国際園芸博覧会」関係の質問で「知っている」11.8%、「よく知らない」37.3%、「まったく知らない」50.8%との回答は市民の理解が進んでいない状況が明らかです。特別市の関係は「知っている」7.5%、「よく知らない」28.7%、「まったく知らない」61.2%になり制度の理解がされていないことが分かります。

6 まとめー「健康」が一番の要望です

生活面での質問には、心配事や困っていることの質問(3つ選択)で「自分の健康や老後」が53.7%、「家族の病気や健康」が39.2%と数年間の調査でも上位になり、国の政治のありかたも含めて考えなければなりません。

回答している市民の年代は10才ごとにほぼ平均化されていますので、回答の偏りはあまり見られませんが、交通機関の利用者では地下鉄利用者の回答が多く他の交通機関の利用者が少ないこともあり、市政への満足度の「バス・地下鉄の便」の回答が高くなっていることに関係があることが示されています。

市民意識調査は毎年実施されていますので極端な違いはでてきませんが、市政運営などについて前市長との違いなど市民は常に注目していることが示されています。