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横浜IRカジノ「実施方針」公表と「事業者募集」の公募についてのコメント

2021年2月9日
カジノ誘致反対横浜連絡会事務局長
菅野隆雄

はじめに

カジノの是非は市民が決めるとした住民投票条例制定の市民署名を審議する、臨時市議会が1月6日から8日に開催されました、結果は反対多数(反対51賛成34)で否決されました。しかし、それから数日のうちに市は1月21日に「横浜市特定複合観光施設置運営事業 実施方針」の公表と「設置運営事業予定者の公募」などを発表しました。この発表の内容は前年12月市議会の十分な審議もされず、条例事項でないため市がどんどん進めることととなり市議会軽視・市民無視の運営になっています。

1 実施方針の内容と問題点について

公表された実施方針の内容から主な問題点を指摘します。最大の問題は内容が新型コロナウイルス蔓延の状況の中で、新しい生活様式などを取り入れるのではなく、これまでの計画をそのまま述べています。前書きにもコロナのコの字もなく「検討・準備を進めていく」と記述されています。

1)提案説明で「人口減少社会の到来や超高齢社会の進展などによる社会経済状況の変化」と述べて、この前提が今までの市の状況表現と同じであり、新型コロナで市民生活や生業がどのような状況なのか、一言も触れられていません。今の状況打開なくして「将来の成長・発展」などありません。

2)事業期間について、「35年間」(協議により原則30年間延長可能)としています。IRカジノ事業に35年間も市有地を提供し、さまざまな協力をしていかなければならない理不尽なことは市政運営からも歪な関係になります。そして、さらに延長期間も明記するなど許されません。

3)区域整備の意義では「日本型IRの実現は、日本を観光先進国に押し上げ」「横浜をゲートウエイ」にするとしています。こうしたことは新型コロナ蔓延から、海外IRカジノのどこもが、閉鎖や入場制限などで大きな経済的損失をこうむり、観光産業の減退や外国人観光客の大きな減少から立ち直りしていません、インバウンドに頼る経済の破綻などからの転換をしていかなければなりません。

4)公表内容は「世界最高水準のIR」としていますが、IRカジノは集客を得るために、設備投資とアトラクションなどを常時更新していると言われています。ことから世界最高水準のIRとしても、他の国のIRカジノと同じ箱型IRカジノを目指している内容では、意味がありません。

5)感染予防策なども具体的な内容は触れられず、ギャンブル依存症対策なども、独自の対策を強化することなどは後回しになっています。

6)建設に伴う市の負担などについて「IRカジノ施設の建設は事業者負担」は記述されています。そして、公表内容ではじめて触れらえましたがいわゆる「基盤整備」については市が行うことになります。この基盤整備が何をどこまでかはこれから事業者と検討することになります。特に交通事情の改善として道路・高速道路や鉄道などの施設計画、水道・下水道の衛生設備や護岸の整備などは提案される事業者の要求を受け入れることになります、なぜならば「政界最高水準のIRカジノを目指す」としているからです。

7)途中解約に伴う解約金の発生について、市からの解約申し出でには「損害賠償」の項目があり、厳しものになります。カジノは作らせないことが最大の選択です。

8)場所としての山下ふ頭について、山下ふ頭(43ha)はほぼ全域が市の所有です、現在使用している会社・事業者は市との話し合いにより一部撤退しています。しかし、港運協会の建物があり港運協会は「カジノ反対」です、すんなりなりと市がカジノ事業者と賃貸契約を結ぶことはかなり難しい状況です。

2 事業者公募の状況について

2月5日に、運営事業者の「参加資格審査」の応募を受け付けました。

1)これまでの状況では、最大の事業者と言われていた、ラスベガス・サンズは昨年5月撤退し、今年1月にウィン・リゾートも参加を見送り大手2社が横浜の参加をしません。

2)2月5日に申請したのは①「SHOTOKU」(マカオ)②「セガサミー」(日本)③「メルコリゾーツ」(マカオ)④「ギャラクシー」(マカオ)の4社でした、又「ゲンティン・シンガポール」(マレーシア)も名前が出ています。

3)カジノ事業の状況から、中国の富裕層で人気のあつたマカオやマレーシアのカジノ資本が、中国政府の規制や新形コロナの影響から大きな損失を出していることから、日本への進出として横浜をターゲツトにしていることになります。

3 国への申請について

国は当初の申請期間を変更し2021年10月1日から2022年4月28日までとしました。

1)国へのIRカジノ申請を準備しているのは①横浜市②大阪府・大阪市③和歌山県④長崎市の4都市です。各都市の状況は、大阪は万博の1年後の開業(2026年)を目指いて準備している。和歌山は白浜地域に新たな埋めたて用地を確保し誘致を表明し、最近2社から事業者提案を受け付けました。長崎はハウステンボス内に用地30haを準備し誘致表明、また大型船の受け入れの為に桟橋の新設も計画しています。

2)横浜市は、6月までに事業者提案を受け付け、8月に事業者の決定を予定し、そのあとに区域整備計画の作成と公聴会を12月までに予定しています、そして来年の市議会に区域整備計画案を審議する予定としています。

4 カジノ反対の市長選挙について

林市長の任期は今年8月29日です。今の任期内に国への申請はできません、たとえ事業者を決めても意味がなくなります。夏の市長選挙でカジノ反対の市長が実現できれば、IRカジノ事業は止められます。